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ウティット・ヘーマムーン(小説家)×岡田利規(演劇作家、小説家)『プラータナー:憑依のポートレート』

タイ, 日本, その他

芸術家の半生をつうじて重なり合い衝突する身体。
そして、その身体をとりまくあらゆる境界線。

― 国、セックス、ジェンダー、エスニシティ、階級、
権力と反権力、過去と未来、成功と堕落、生と死 ―

境界線がゆらぎ、分離・融合するとき立ち上がるものとは?
そして、演劇の構造自体をも拡張する演劇がここに生まれる。

本作は、共に1970年代生まれ、同世代である二人の芸術家、ウティット・ヘーマムーン(タイ)と岡田利規(日本)を中心に立ち上がった。
東南アジア文学賞、セブン・ブック・アワードを受賞し、タイ現代文学の最前線を担う小説家、ウティット・ヘーマムーンと、日本の演劇作家・小説家であり、演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰として知られる岡田利規。2017年6月にタイで出版されたヘーマムーンによる最新小説『プラータナー:憑依のポートレート』(タイ語タイトルは“Rang Khong Pratthana”)を、岡田の演出によって舞台化する。現代社会への鋭い視座をもって創作を続けるヘーマムーンと岡田の芸術家としての思考が、ここで初めて融合する。

ヘーマムーンの小説の主人公は一人の芸術家である。1990年代初頭から現代に至るその半生、性愛遍歴を描きながら、同時に芸術家が住む国家であるタイの歴史、政治変動の流れが投影されるという、小説のアウトラインに岡田が強く共鳴したことから、ヘーマムーンの小説を演劇化するという構想が展開した。一人の芸術家の人生を描きながら、そこに演劇ならではの手法で国家と身体、性的な営みと政治変動を重ね合わせ、岡田の演劇が構築される。
そして今回、contact Gonzoの塚原悠也が、初めてセノグラファーとして岡田とのコラボレーションに挑戦。「痛みの哲学、接触の技法」を謳い、殴り合いのようにもみえるパフォーマンスやインスタレーションの数々で国際的に活躍する塚原の参加により、ヘーマムーンの原作小説から脱皮した、固有のパフォーマンスへの変容が加速するだろう。

コラボレーションの焦点となるのは、ヘーマムーン、岡田、そしてプロジェクトチームのだれもが芸術家として活動していることであり、本作で語られる主人公も芸術家として同時代を生きていることである。一人の芸術家が、その芸術的活動とそれを取り巻く政治状況の中で自らの創作を探求しながら社会と葛藤し、多くの出会いと喪失を経験していく。
そこであぶり出されるさまざまな境界線は、政治と国家、支配と権力、欲望と身体、見る者と見られる者など、タイや日本に留まらず、国民国家という枠組みで生きる人間誰もが自ら設定し、また設定された状況で生きることを余儀無くされているものだろう。それらの境界線を越えることとはなにか。同時代を生きる芸術家たちの目を通じて捉えられる新たなビジョンにより、本作は演劇という芸術形式の境界をも拡張していく、意欲的な試みである。

2016年11月に始まったヘーマムーンとの対話、継続的なリサーチの中で、岡田はタイの俳優とのワークショップ及び出演者オーディションを実施。そこで選出したタイの俳優に加え、タイ及び日本のクリエイティブ・メンバーを迎え、本作は2018年8月にタイ、バンコクにて世界初演、その後フランスで行われる「ジャポニスム2018」の公式企画として、パリでの上演を予定している。今後のプロジェクトの進行と挑戦に、ぜひご注目いただきたい。

プロフィール

原作:ウティット・ヘーマムーン

ウティット・ヘーマムーンのポートフォリオ

1975年タイ中央部サラブリー県ケンコーイ生まれ。バンコクのシラパコーン芸術大学絵画彫刻版画学部を卒業。2009年に発表した3作目の長編小説『ラップレー、ケンコーイ』(The Brotherhood of Kaeng Khoi)にて作家としての地位を確立し、同年の東南アジア文学賞とセブン・ブック・アワードを受賞。さらにCNNGoにて、タイで最も重要な人物の一人として掲載された。2013年には京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで実施されたアーティストワークショップ「Work in Memory」に、映画監督のアピチャッポン・ウィーラセタクンとともに招聘講師として参加。同ワークショップに参加した日本のアーティスト6名との交流を通じて執筆した中編小説『残り香を秘めた京都』を発表。2014年から2015年までタイの文芸誌『Writer Magazine』およびタイ国文化省現代芸術文化局発行の文芸誌『Prakod』の編集長を務める。2017年6月『プラータナー:憑依のポートレート』(Rang Khong Pratthana)を発表、同年8月にはバンコクにて自らのドローイングと絵画による展覧会を開催。

脚本・演出:岡田利規

岡田利規ポートフォリオ

1973年横浜生まれ、熊本在住。演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。05年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。同年7月『クーラー』で「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005―次代を担う振付家の発掘―」最終選考会に出場。07年デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を新潮社より発表し、翌年第二回大江健三郎賞受賞。12年より、岸田國士戯曲賞の審査員を務める。13年には初の演劇論集『遡行 変形していくための演劇論』、14年には戯曲集『現在地』を河出書房新社より刊行。16年よりドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレ(ドイツ)のレパートリー作品の演出を3シーズンにわたって務めた。

セノグラフィー:塚原悠也

塚原悠也

1979年京都市生まれ、2004年関西学院大学文学研究科美学専攻修了。現在、大阪市在住。2006年にダンサーの垣尾優と共に「contact Gonzo」を大阪にて結成。公園や街中で「痛みの哲学、接触の技法」を謳う、殴り合いのようにも見える即興的な身体の接触を開始。個人名義の活動としては、2014年にNPO法人DANCE BOXの 「アジア・コンテンポラリー・ダンスフェスティバル神戸」や、東京都現代美術館の「新たな系譜学をもとめて 跳躍/痕跡/身体」展などでパフォーマンス・プログラムのディレクションを行う。また2014年より丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて始まったパフォーマンス企画「PLAY」にて「ヌカムリ・ジャミポス3部作」と名付けたパフォーマンス作品を3年連続発表。2011年〜2018年、セゾン文化財団フェロー助成対象アーティスト。

演出助手:ウィチャヤ・アータマート

1985年バンコク生まれ。タマサート大学映画分野を卒業後、バンコク演劇祭のプロジェクトコーディネーターとして舞台芸術に携わる。2009年にNew Theatre Societyに参加したことをきっかけに、演出家として様々な実験的な試みや型にはまらない演劇的アプローチを見出した。彼は、特定の期間を通して社会がどのように歴史を覚えているか、またいかに忘れてしまうかを、様々な創造的な分野の人々とコラボレートすることによって探求することに強い関心を持つ。現代社会の現象や演劇形態それ自体に疑問を投げかけるためのプラットフォームとして、2015年For What Theatreを共同設立した。2014年と2015年には、演出作品『In Ther's View: a Documentary Theatre』と『Three Days in May』でそれぞれ国際演劇評論家協会(IATC)タイセンターの賞を受賞。

出演:バンコクでのオーディションを経て選出した俳優

参考情報

特設ウェブサイト
2018年6月 オープン予定

ASIA HUNDREDS
ウティット・ヘーマムーン――ひとりの物語から、拡張する芸術へ

イベント基本情報

バンコク公演【世界初演】

日時 2018年8月22日(水曜日)から26日(日曜日)
会場 チュラロンコーン大学文学部演劇学科 ソッサイパントゥムコーモン劇場
主催 国際交流基金アジアセンター
株式会社precog
一般社団法人チェルフィッチュ
助成 アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
公益財団法人セゾン文化財団

パリ公演

日時 2018年12月13日(木曜日)から16日(日曜日)
会場 ポンピドゥ・センター(フェスティバル・ドートンヌ・パリ/ジャポニスム2018公式企画)
主催 国際交流基金
ポンピドゥ・センター
共催 東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
フェスティバル・ドートンヌ・パリ
製作 国際交流基金アジアセンター
株式会社precog
一般社団法人チェルフィッチュ
助成 公益財団法人セゾン文化財団

ジャポニスム2018 公式Website

ジャポニスム2018ロゴ

注:以降、日本公演を予定(調整中)