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『再会の時~ビューティフル・デイズ2~』リリ・リザ×ミラ・レスマナ インタビュー

Interview/アジアフォーカス・福岡国際映画祭2016

続編を作ったきっかけ

──今回のアジアフォーカスで上映された『再会の時~ビューティフル・デイズ2~』(原題:Ada Apa Dengan Cinta2>、以下『ビューティフル・デイズ2』)は、前作『ビューティフル・デイズ』(2002)から実に14年ぶりの続編となります。まずは製作に至るまでの経緯を教えていただけますか。

ミラ・レスマナ(以下ミラ):『ビューティフル・デイズ』の興行的な成功はもちろん、インドネシアの映画がこれだけ自国の観客に受け入れられたことは、私たちもビックリでした。ただ私たちがその前につくった『シェリナの大冒険』(2000)という子ども向けミュージカル映画の大きな成功もあったので、当初は『シェリナの大冒険』の続編の話が先にあったんです。そのあとに『ビューティフル・デイズ』の続編の話も出てくるんですが、当時は続編をつくることに前向きではなく、別の作品をつくっていました。ただそれでも『ビューティフル・デイズ』の続編を望むファンの声は次第に高まっていき、10年後の2012年に出演者やスタッフ、それからファンとともに一度だけ上映会を行うことになったんです。そういうわけで出演者たちの成熟した姿や、他の多くの映画に出演している現在の彼らと再会する機会を得たところ、ふいに「仲の良い友人や別れた恋人同士が、歳を重ねたのちに再会する続編だったらおもしろいんじゃないか」と思いつきました。それが『ビューティフル・デイズ2』の最初のアイデアで、脚本の手直しはあったものの、実際には2015年から撮影が始まることになります。

映画のスチル画像
『ビューティフル・デイズ』(2002)

リリ・リザ(以下リリ):続編をつくりたいと思った理由のひとつは、この14年間でインドネシアがどのように発展してきたのかを示したかったということです。たとえば前作で高校生だったチンタやランガは、2000年代初めの芸術、文学、音楽に興味を持っていましたが、そのあいだにインドネシアは精神的にも肉体的にも非常にダイナミックな発展を遂げてきました。つまり現在の彼らに対する新たな可能性とともに、インドネシアの変化を描くことがこの続編をつくる大きな動機になったんです。

──本作では『虹の兵士たち』や『夢追いかけて』に引き続き、ミラさんも脚本に関わっていますが。リリ監督の演出や方向性を踏まえ、どのようにして脚本の執筆にあたっていったのでしょうか。

ミラ:私たちは最初の長編映画から20年近く共同作業をしてきたので、おたがいのことは知り尽くしています。たとえばMILES FILMSという製作会社を立ち上げて、これまで16作品をプロデュースしてきましたが、そのうちの5作品が他の監督で、それ以外はすべてリリの作品です。今回の脚本を書くときも彼がどのように撮るのかは想像できましたし、逆に私が彼の脚本を読むときも「このシーンはこう解釈して撮るだろう」ということがわかるわけです。脚本の手直しも「もっと別のシーンが必要じゃないか」「ふたりの会話はこっちに変えたほうが良いかもね」といったことを確認し合いながら進めていきました。

リリ:「どのような映画をつくるべきか」を考えるために、私たちは普段から小説や音楽、映画といったさまざまなものを共有しています。このことは同じ会社で働いているからこそ可能ですし、今回のように海外の映画祭へ行って同じ映画を見ては、おたがい感想を言い合うことでそれぞれの好き嫌いがわかるようにもなります。ですからミラが書く脚本を読めば、その映画全体の雰囲気を容易につかむことができるんです。

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