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大友良英×能町みね子が語る「はみ出し音楽講座」アジア編

Interview/Asian Meeting Festival 2016

NYのライブハウスStoneは、変な音楽をやるほどお客さんが入るんです。(大友)

大友:能町さんは、昨年の『Asian Meeting Festival 2015』を観に来てくれたんですよね。日本初登場のアーティストばかりの実験的な音楽イベントに来てくれて、本当にありがとうございます。

能町:いえいえ(笑)。私はもともと、ああいった即興や実験的な音楽が大好きなんですよ。去年ニューヨークで、ライブハウス「Stone」を観に行ったんですけど、けっこうお客さんが入っていましたね。

『Asian Meeting Festival 2015』公演風景 ©Kuniya Oyamada / ENSEMBLES ASIA

大友:実験音楽家のジョン・ゾーンが運営するライブハウスで、ミュージシャンたちがボランティアで自主運営してるんです。ぼくも去年、Stoneで1週間ライブをやったけど、あそこは変な音楽をやるほどお客さんが入るんです。現代美術家の毛利悠子が音の出る装置をその場で組み立てて、前衛音楽家の刀根康尚さんがmp3ファイルを暴走させ、ぼくが横でガチャガチャとギターを弾いて、Sachiko Mがサイン波を鳴らすっていう一番謎だったライブの日は、お客さんが入りきれないほどだった(笑)。能町さんが実験的な音楽に興味を持ったのは、なにがきっかけだったんですか?

能町:私、生まれてはじめて買ったCDが小学生のときで、たまの1stアルバム『さんだる』(1990年)だったんです。

大友:なるほど、予兆を感じさせますね(笑)。たまって、変わった髪型をした人が歌っていたり、ランニングシャツ姿のドラマーが突然叫んだり、ビジュアルも印象的だけど、音楽的にも当時のポップスの基準で見たら、相当変わっていたというか、いま聴いても面白い音楽ですよね。

大友良英

―世間的には1980年代後半からのバンドブームの最中、メジャーデビューシングル『さよなら人類』(1990年)が大ヒットしたバンドとして知られています。

能町:そうなんです。当時は小学生でも知っているバンドで、私も同じように聴きはじめたんですけど、2ndアルバム、3rdアルバムとなるにつれて、周りで聴いているのは私一人だけになってしまって(笑)。それ以降はメジャーど真ん中の音楽シーンにはあまりハマらずに、ちょっとズレたものが好きになりました。大学生のときは、灰野敬二さんのCDを聴いて衝撃を受けて。その頃からですね、レコード屋で実験的な音楽を漁りはじめたのは。

大友:たまの次に灰野敬二さんとは、また過激なところを攻めていきましたね。

能町:でも、さらに本格的にハマったのはYouTube以降なんです。学生のころはネットも普及してなかったし、アンダーグラウンドなものは雑誌やレコード屋の片隅で少ない情報を得るしかなかった。でもYouTubeが普及しはじめて、それまで噂でしか聞いたことがなかった貴重な映像を一気に見れるようになって、「わあああぁぁっ!」って興奮!

能町みね子

大友:『Asian Meeting Festival』のリサーチでも、YouTubeはすごく役にたちました。ローカルな音楽シーンの情報や音源ってなかなか手に入らないし、雑誌も読めないから、YouTubeに投稿されている動画はすごく重要な情報源なんですよ。

能町:たしかにシーンの「いま」を知るために、YouTubeはとても重要ですよね。そういえば、数年前にグリーンランドに行ったんですが、地元のCD屋を漁ってきたんですよ。

大友:グリーンランドとは珍しい。どんな感じでした?

能町:アザラシの皮を張った、大きなタンバリンみたいな楽器を叩いて唸るだけの伝統音楽はよくわからなくてイマイチだったんですけど(笑)、グリーンランド語で歌うロックバンドとか、楽しかったです。

『Asian Meeting Festival 2015』公演風景 ©Kuniya Oyamada / ENSEMBLES ASIA

大友:ぼくは、海外にはじめて行ったのが1980年代の中国で、まだみんな人民服を着ているような時代。小さなレコード屋へドキドキしながら行ったこと覚えています。その後、香港によく行くようになってからは、地元の音楽雑誌を漁るようになって、広告に小さく漢字で「地下音楽」「雑音音楽」って書いてあって。

能町:あやしい(笑)。

大友:その広告をたどってレコード屋に行くと、片隅に「地下音楽」「雑音音楽」というコーナーがちゃんとあるんですよ。買って聴いてみると、「ピー」とか「ギャーッ」って音が入ってる(笑)。全然知らない国で、自分に近い音楽を見つけたときの嬉しさったらないですよ。

能町:いいですよね。そうやって知らない国で自分が共感できるものを見つけられたら嬉しいし、そこから新しいなにかが生まれたら最高ですよね。

大友:そういうドキドキ感が『Asian Meeting Festival』でのリサーチの原点にあります。面白い音楽を探して、その曲を作った人に出会って、共演までできるわけですからね。