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国際交流基金アジアセンターは、アジアの人々の間に共感や
共生の心を育むため、様々な分野で文化交流事業を実施しています。

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「…and Action! Asia#02 映画・映像専攻学生交流プログラム」の動画レポートが完成

国際交流基金アジアセンターは、2016年3月6日(日)~15日(火)にわたり、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマーの大学で映画・映像を専攻する学生と指導教員を招へいし、日本の学生・教員との協働を育む交流事業「…and Action! Asia 映画・映像専攻学生交流プログラム」を実施しました。この模様を収めた映像が完成しましたので、ぜひご覧ください。

本事業は、日本を含むアジアの映画・映像分野を学ぶ学生による活発な対話や交流のプラットフォームを構築し、これによりアジア域内での交流の裾野を広げ相互理解を促進し、将来的な国際共同製作の可能性を導き出すことを目的として、2015年に開始。第二回目となる今回は、「東京の秘密」をテーマに、東南アジアの学生から提出された短編映画の企画をもとに、日本の学生らと一緒に混成チームを結成し、企画をブラッシュアップするための取材・調査を東京近郊で行い、企画プレゼンテーションを実施しました。

プレゼンテーションには、諏訪敦彦氏(映画監督、東京藝術大学 大学院映像研究科教授)、藤岡朝子氏(山形国際ドキュメンタリー映画祭理事)、安岡卓治氏(日本映画大学教授、プロデューサー)を講評者に迎え、以下のとおり総評いただきました。

(以下、敬称略)

安岡:僕はこのプレゼンテーションそのものを非常に楽しむことができました。日本の題材をそれぞれの国の視点で見て、そこから議論が生まれて、それが取材調査によって深まっていったプロセスがよく見えて楽しませていただきました。今回のワークショップは一つの始まりに過ぎないと思います。これから今回選ばれた題材、または皆さんのオリジナルの題材をどう深めて作品にしていくか、その挑戦はこれから始まります。ぜひ、それを形にするように努力を続けていってほしいと思います。ありがとうございました。

藤岡:皆さんにはプレゼンテーションとその努力にお礼申し上げます。皆さんのプレゼンテーションの後のコメントに、よりワクワクしました。この一週間で何が起きたのか、想像することができました。それが小さくても、みなさんの人生を変える力があったのだと思います。アメリカでは、作り手の革命が起きていると言われています。物事を作る技術が発達して、3Dプリンターやより小さな機械が使えるようになっており、お金がなくても誰でも好きなものが作れると。映画づくりも同じです。皆さんの話を聞いて、どんなに映画づくりが好きなのか、クリエイティブなものをゼロから作り始めることを楽しんでいるのが分かりました。それには大きな力があります。では、プロセスを楽しんでいるからと言って最終的に出来上がったものの質は問わないのか。皆さんには、作るプロセスを楽しみながら、出来上がったものの質や社会的な影響、観客への影響というのをこれから考えていってほしいと思います。ワークショップはもちろん楽しいものですが、最終的に出来上がったもので何をしたいのか、時間もお金もかけて作っているものですから、考えていってください。

諏訪:僕は最近、小学生と映画を3日間で作るプログラムを行っています。いまは小学生でも映画を作れるのです。彼らは何も教えなくても映画を作ることができるし、編集もする。ロバート・フラハティという有名なドキュメンタリー監督の言葉で、先入観を持たないことが大事とあります。先入観なしに世界と出会うと。きっと皆さんもそれを大事に思っていると思いますが、カメラを持つとき、映画を作るときに先入観を持たないで向き合うのはかなり難しいことですよね。子どもたちでさえ、自由にやらせるけれども本当に自由に映画を撮るというのは難しい。というのも、我々は既に不自由にしかものを見られないので。映画を作るときには制約がありますし、国によっては自由に発言ができないという問題もありますよね。だけど、自由になれる状況でも自由になることが難しいというのは、常に付きまとう問題なのです。特に、映画というのは本当に不自由なメディアで、いろんなことをやらなければいけない、いろんなことに関わる、その中で先入観なしに物事を見つめ、且つ自由にやるというのは大きな問題である。それが簡単ではないということに出会ったときに次に進めると思うんですよね。映画を作る人になっていくプロセスとして。だから今回もいろんな困難があったと思いますが、それをどう乗り越えるのか、というのを持ち帰ってもらいたいと思います。

この映画で何を伝えたかったのか、たくさん聞かれることがあると思います。これで何をやりたいのかなど。でも、それを本当に伝えたいのなら、ここでみんなに話して伝えればいいじゃないですか。ではなぜ映画なのか、というのをもう一度考えなくてはいけないですよね。映画は何かを伝える道具ではない、でも何かを伝えるのは確かだし、何かを発信し、何かを投げかけるものでもある。映画って何だろうと考えたときに、それは一人で歌を歌うことに近いかもしれないですよね。そういう孤独な叫びみたいなものに近い一方で、今回のように全く異なる考え方をもった人たちが皆で一つのプロジェクトをやるという価値も映画にはあります。その両方があって、豊かさというのも映画にはあるのだと思います。でも、その両方は簡単に仲良く共存するわけではなくて、どちらかが強かったり弱かったり、関係が上手くいかないということが常につきまとうわけですが、そのことが映画の可能性であり、豊かさであることをもう一度、一緒に考え続けたいと思いました。頑張ってください。

日程  2016年3月6日(日)~15日(火)
参加大学 インドネシア/ジャカルタ芸術大学
タイ/シラパコーン大学
フィリピン/フィリピン大学
ベトナム/ホーチミン映画演劇大学
ミャンマー/ヤンゴン国立芸術文化大学
日本(受入機関)/日本映画大学
日本(協力機関)/早稲田大学、立命館アジア太平洋大学
主催  国際交流基金アジアセンター
共催  日本映画大学