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国際交流基金アジアセンターは、アジアの人々の間に共感や
共生の心を育むため、様々な分野で文化交流事業を実施しています。

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ASIAN ELEVEN アジアサッカーを強くする:インターナショナル・コーチングコース2018を実施しました!

アジアセンターと公益財団法人日本サッカー協会(以下JFA)の共催事業である、インターナショナル・コーチングコースが2018年5月14日から20日の間、大阪のJGreen堺にて行われました。

公益財団法人日本サッカー協会
JGreen堺

【コースの目的】

  • アジアの指導者に対して情報提供しアジアサッカーの底上げをはかる。
  • ディスカッションを通して相互理解、各国の今後の指針を決めていくヒントを創出する機会とする。
  • アジアのサッカー指導者の間のつながりを強める。

【参加者】

カンボジア、フィリピン、ラオス、シンガポール、ミャンマー、タイなど、アジアの19の国と地域から第一線で活躍する指導者35名

【コース内容】

全7日行われたコースの3日目と4日目の内容を報告します。

コース内容詳細PDF

  • GK(ゴールキーパー)指導者の育成
  • 指導者を育成するための技術委員会のありかた
  • ゲーム分析とその実践
  • アジアと環太平洋各国の指導者育成のあり方の現状報告
  • アジアサッカーのこれから

【過去のコース報告書】

GK(ゴールキーパー)指導者の育成

JFAゴールキーパーライセンスに挑戦する参加者達の写真

川俣則幸*1 氏による講義では、以下のポイントが紹介されました。

  • アジアでGKを課題としている国が多い。
  • これから指導者を育成することで、大きな成長が期待される
  • 日本ではGKに特化した指導者ライセンスが存在する
  • ライセンスは4つのレベル(S、A、B、C級)からなる
  • S級 チームの戦術に合わせてGKを指導
  • A級 試合でより良いプレーをするためにGKを指導する
  • B級 ミニゲームでより良いプレーをするためにGKを指導する
  • C級 GKの基本となるテクニックを教える

講義後、ピッチでC級ゴールキーパー指導者ライセンスの内容を実践しました。

*1 日本サッカー協会 ナショナルトレーニングセンターコーチ

指導者を育成するための技術委員会のありかた

技術委員の小野氏(右)の写真

小野剛*2 氏による講義では、以下のポイント が紹介されました。

  • JFAの育成三本柱は「選手の育成」、「指導者の育成」、「草の根育成」 。
  • ワールドカップでの戦績を基準としてPDCAを回している 。
  • 分析結果を技術委員会だけではなく全ての指導者にテクニカルレポートとして共有している 。
  • サッカートレンドについても広く理解するためにJFA指導者ライセンスの内容は毎年変更が加えられる 。
  • 「日本スタイル」を確立すべくパフォーマンスを分解し他国との比較を継続している 。

参加者は熱心に講義に耳を傾け、活発な質疑応答がなされました。

*2 日本サッカー協会 技術委員会委員

ゲーム分析とその実践

解説を聞く参加者と会場の写真

ゲーム分析とは

試合を観察しフォーメーション 、チームの戦術 、試合の流れ 、どのようにゴールが生まれたか、特別な選手、更には試合後の選手、監督のコメント等から対象のチームを分析すること。分析の目的はそれぞれが置かれた立場によってことなる。
参加者はゲーム分析の手法の解説を聞いた上で、監督、クラブオーナー、技術委員長等のロールプレイを行いました。その後、そこで視察した結果を実際に当日行われた試合(ガンバ大阪VS名古屋グランパス)を視察し、翌日グループプレゼンテーションの形で発表し合いました。

試合を分析する参加者達の写真

アジアと環太平洋各国の指導者育成のあり方の現状報告

オーストラリアの指導者育成について

指導者育成についてアジア各国からの発表があり、それぞれの現状と課題について語っていただきました。特に、オーストラリアは国の大きさから(ほぼ欧州と同じ大きさ)指導者が中央に集まることに難しさがあり、指導者に中央に集まってもらうのではなく、指導者が指導するクラブにおいて自らも指導を受けるプログラムがあることについて説明があり、多くの参加者が興味を示していました。

アジアサッカーのこれから

2日間の締めくくりとして、「今後アジアのサッカーを強くしてくため私たちは何をすべきか」というテーマでグループディスカッションを行いました。SWOT分析*3 を用いてアジアサッカーの現状分析を行い、それぞれのグループが解決策をプレゼンテーションしました。SWOT分析でまとめた内容は下記の通り。

SWO分析の説明図。内部環境:S(strength)、 W(weakness)。外部環境:O(opportunity)、T(threat)

*3企業や組織をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(危機)の観点から分析し組織としての戦略をつくるのに役立てるための分析手法

特にアジアに特化した「弱み」として「距離」(アジアでは、欧州などと比べて、各国間の地理的な距離が遠いことにより、選手や指導者の行き来のための時間的、金銭的コストが大きいこと)が多くのグループからあげられ、それに対してアジアを4つに分けて、指導者の育成を行ってみてはどうかというソリューション等が提案されました。

アジアサッカーの未来について語る参加者達の写真

参加者へのインタビュー

フィリピンサッカー連盟 技術委員長 ホセ・アリストン・カスリブ氏

ホセ氏の写真

「JFAの指導者育成方法はアジアではもちろん、国際的に見ても世界最高基準です。私たちが近年成長を遂げているのも、これまでの日本とのサッカー交流の中で学んだことが活かされているからです。日本人の指導者からコースを通して、『規律』そして『細部へのこだわり』が良い指導者を育成するために重要であり、フィリピンには特に必要な要素であることを痛感しました。サッカーの世界的な潮流を指導者の育成にあたるアジアのリーダーたちが共通認識として共有し、お互いを刺激しあい、ビジョンを共有する。このような経験は全ての参加者が自国に戻ったあと大きく活かされると確信しています。」

今回の成果

今回目的として掲げた「アジアサッカー指導者の育成について考える」については特に指導者育成のために、一国のサッカーを包括的に見ている技術委員会の重要性を説明することで、組織的に何が必要か参加者の中で再認識が行われました。また、グループディスカッションの中で、特にサッカーの指導者育成が発展途上である国の発言を通して、資格をもった指導者が豊富にいることが当たり前でなく、技術委員会を通した戦略と意志があって初めて達成されることが明らかにされました。

アジアサッカーのこれからについて長所や短所、そこから生まれた、改善案をより深め、各国で共通認識とすることで、既に生まれつつあるアジアのサッカーの変革に大きな弾みがつく可能性を参加者の情熱を通して今回のコースから感じました。

本事業は、2014年に開始されたアジアセンターとJFAの連携事業の一環として開催されました。これからもアジアセンターは、アジアが連携し、学び合い、交流によってアジアのサッカー人材を育成する活動を続けてまいります。