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帰ってきた“日本語パートナーズ”! タイで何を見て、何を残したのか

タイに派遣され、現地の日本語教師のサポートを行いながら、地元の人々との交流を深める活動を終えて帰国した“日本語パートナーズ”。派遣期間を通じ、タイで何を見て、何を残したのか――。

実際に現地で活動を行った“日本語パートナーズ”の報告には多くの関心が集まりました。

2015年3月31日の国際交流基金アジアセンター諮問委員会の中で、“日本語パートナーズ”タイ1期の丸山栞さん(派遣先:ムックダーハーン県)、繪野澤采子さん(派遣先:サコンナコン県)、鶴田孝俊さん(派遣先:バンコク)の3名によって活動報告が行われました。

 

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自分や家族が幸せになるために、日本語を勉強する

タイでは、派遣された地域によって、日本語の教育環境や生徒の置かれている状況などが大きく異なることが報告されました。

特にタイの東北部では、日本語教師や教材が不足しています。 「今は貧しくて家族が一緒に暮らすことができません。でも、一生懸命に日本語を勉強して、大学でも日本語を勉強して、タイに進出している日本の企業に就職することができたら、家族が一緒に暮らすことができます。だから、私は日本語を勉強しています」

タイの東北部にあるターナライウィタヤー学校に派遣された、“日本語パートナーズ”の繪野澤さん。彼女が、現地の生徒たちに日本語を学ぶ動機を尋ねた時の、生徒の言葉です。1人ではなく、たくさんの子どもたちが同じような動機だったことを聞き、繪野澤さんは涙が止まらなかったと話します。

「タイでの“日本語パートナーズ”派遣は広域に渡るため、地域や学校によって、日本語を学ぶ生徒のモチベーションが異なるように感じました。私の派遣されたイサーン地方は、主な産業のない、経済的に富裕とは言えない地域でした。派遣されるまでは、アニメや日本文化に興味を持ったことが動機となり日本語を学んでいると思っていましたが、実際は違ったのです。子どもたちの日本語を勉強する動機は、差し迫ったものがあり、そういった子どもたちが一生懸命に勉強し、日本語のスピーチコンテストに積極的に参加しています。日本語を勉強することで、自分も成長できる、幸せになれる、自分だけでなくて家族みんなが幸せになれると思ってもらえるように、私たちも活動していきたいと感じました」(繪野澤さん)

 

求められているのは、日本への興味を広げるためのサポート

一方、丸山さんが派遣されたタイ東北部にあるムクダ―ハーン県や、鶴田さんが派遣されたバンコクの生徒たちの動機は異なるものでした。 「YouTubeなどでアニメやドラマなどを見て興味を持った生徒もいました。また、私の派遣された学校は理数系に特化した学校だったので、日本に留学してサイエンスを学びたいという動機も多くありました」(丸山さん)

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  「私はバンコク近郊の学校に派遣されたのですが、タイでは比較的恵まれた生徒が多い学校だったのだと思います。日本に旅行したことのある生徒も2人いましたし、自費でこれから日本に来る生徒もいます。生徒たちは、アニメなどのサブカルチャーから日本に興味を持ったようですが、その興味を広げるサポートが求められていると感じました」(鶴田さん)

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生徒たちが日本人や日本語に触れる機会を増やすために

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  具体的には、日本の学校との交流プログラムや、実際に日本人が学校を訪れる際のやり取り、時には通訳など、さまざまなサポートを行ったとのこと。 丸山さんが派遣されたチュラポンムクダハン校では、2014年から広島大学付属高校とのスーパーサイエンス協定を結んでいます。2月に行われた交流プログラムでは、広島大学付属高校の先生とも事前に連絡を取り、このプログラムが円滑に行われるようにサポート。

その他の“日本語パートナーズ”も、日本語キャンプや日本語スピーチコンテストを実施し、現地の生徒たちが日本人や日本語に触れる機会を増やし、モチベーションアップにつなげています。

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  また、日本語クラブや非正規授業を行い、日本文化や日本語に触れる機会を正規の従業以外でも増やします。教室で勉強するだけでなく、一緒に作業する中で楽しい日本語が学べるように工夫されています。

「個人の人間性を通じて、日本を知り、日本を好きになってもらいたい」

帰国してすぐに、タイの生徒と先生総勢40名とともに日本を旅行することになっている鶴田さん。

タイのバンコクにあるシーカンワッタナーナンウッパタム学校での活動での報告で、「個人の人間性を通じて、日本を知り、日本を好きになってもらいたい」と語りました。鶴田さんは授業の時間だけでなく、放課後や休み時間も生徒たちと語らい、地元の屋台や商店の人々と毎日のように関わり、交流を深めたとのこと。さらに、日本文化を紹介するだけでなく、タイの芸術や文化も現地で学び、その奥深さを感じたそうです。

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活動の成果が出始めました!

“日本語パートナーズ”の活動によって日本語に興味を持つ生徒が増えると、日本語の授業数も増えます。授業が受けられる学年も拡大され、学生たちが日本語を学ぶチャンスが増加しました。また、それまで日本人と話をする機会がほとんどない地域の日本語教師も、“日本語パートナーズ”と関わりながら授業を行うことで、モチベーションが高まり熱心にスキルを磨く姿を見ることができたと活動の成果が報告されました。

個人と個人が友達になって、お互いの国の文化や言葉を学び合う

活動報告のプレゼンテーションが終わると、出席した日本及びASEAN諸国の諮問委員の方々からは、拍手と感嘆の声が上がりました。

特に評価されたのは、“日本語パートナーズ”が、知識を一方的に教えるのではなく、生徒や現地の日本語教師と「人と人のつながり」を育みながら、自身も達成感を感じている点です。

「お互いが相手の国の文化や言葉を学び、いい関係を作っている」と称賛を惜しまない委員や、“日本語パートナーズ”と熱心に話し込む委員が見られました。 “日本語パートナーズ”派遣事業に対しては、「言語は全ての交流の基盤となるので、このような活動は評価できる」、「活動報告を聞いて感動しました」、「派遣事業計画に盛り込まれたことの多くが実現されていた」など高い評価が聞かれました。ASEAN諸国の委員からは、「わが国も早く“日本語パートナーズ”に来ていただけるとうれしい」と期待が述べられました。 また、「現地での体験や学んだことを、今後ぜひ発信していってほしい」と、“日本語パートナーズ”の知名度の向上やインターネットを介した交流促進を期待する声、「今回の派遣によって出てきた課題を、次への大切なステップにしてほしい」と事業のさらなる発展を望む意見も出されました。

中でも、「帰国した‟日本語パートナーズ”が経験者として連携することによって、日本における国際交流に貢献していただきたい」という意見は、“日本語パートナーズ”派遣事業の今後を考える上での貴重な提言として注目を集めました。 今回活動報告をした3人の“日本語パートナーズ”は、派遣された地域や学校によって活動内容を工夫し、それぞれが確実に足跡を刻んできました。3人は「私たちからの、バトンをつないでいってほしいです」と後任者へ期待を寄せるとともに、この派遣で得た人脈や経験を今後の個人的な活動へ活かしていこうと、おのおの意欲を燃やしている様子でした。

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—— 大塚聡美:バリュードライブ(株)専属ライター兼エディター

文化交流、音楽、教育、マーケティングを中心に現地取材による執筆を得意とする。国際交流基金アジアセンターの文化交流イベントにも潜入しアジア文化の面白さ、奥深さをあらためて感じている。

http://jfac.jpasiazine/report_senju_01/

コンテンツマーケティング研究所 副編集長 http://cm-labo.com/

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