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経験者に聞く

タイでの交流が教えてくれた「ありのままの自分」でいることの心地よさ - タイ2期 木村麻貴さんインタビュー

タイ
木村 麻貴さん

日本語のレベルを上げるより、日本に興味を持ってもらうことが優先

――タイでの活動を終えて帰国したのが2016年の3月ですね。約1年経ちましたが、派遣先校の先生や生徒とはその後も交流は続いていますか?

木村:帰国してからもSNSやテレビ電話で連絡を取り合っています。「おはようございます。お元気ですか」と、生徒たちが日本語でメッセージを送ってくれることがすごく嬉しいですね。今年の1月後半から2月の頭にかけて個人で派遣先校を訪問したんですが、みんなが駆け寄ってきて、中には抱きついて喜んでくれた生徒もいて。さらに、「おかえりなさい」と書いた手づくりのボードを用意して迎えてくれて、涙が出るほど感激しました。私にとってタイは第二の故郷。訪れるのではなく、帰る場所だと思っています。

――“日本語パートナーズ”として派遣されたのはタイのどこですか?

木村:イサーン地方とも呼ばれているタイ東北部のノーンブアランプー県です。私が派遣された中高一貫校は、ノーンブアランプーの中でも特にローカルなノンサワン村にあります。“日本語パートナーズ”への参加が決まって、派遣される学校が辺鄙な田舎にあると知らされた時は、そこに10か月も滞在すると思うと不安で、派遣先を変えてもらえないか交渉してみようと考えたほどでした(笑)。でも“日本語パートナーズ”を経験した後の私には、ノーンブアランプーに派遣されて本当によかったという思いしかありません。

派遣先はのどかな田園風景が広がるノンサワン村

――では、ノーンブアランプーでどんな10か月を過ごしたかお聞きしていこうと思います。まず派遣された中高一貫校の日本語の授業について教えてください。

木村:派遣先の学校には日本語が選択科目としてあり、中学1年生から高校3年生までの全生徒約400名が学んでいます。各学年とも授業は週に1回しかなくて、内容も初級レベルでした。日本語教師は女性で、パム先生といいます。授業はパム先生が考えた内容に沿って進められ、私はアシスタントとして日本語の発音や会話のお手本役、ミニテストの出題と採点、ノートチェックなどを担当しました。

 現地に行くまで派遣先校の授業のレベルがわからず、実は中級以上の日本語を教えられるくらいの準備をしていったんです。大学で学んだ日本語教授法も生かせると思っていました。ところが授業に参加してみると「おはようございます」から教える初級レベルで、当初は戸惑いや残念に思うことがあったのも確かです。ただ、私は派遣前から生徒の日本語のレベルを上げることよりも、日本に興味を持ってもらうことに力を入れたかったので、この学校では逆に自分の思いを生かすことができるかもしれないと感じて。それからは毎日の活動を考えるのが楽しみになりました。

――日本文化を紹介する機会は頻繁にありましたか?

木村:パム先生にお願いして、50分の授業のうち毎回5分ほど文化紹介の時間をもらいました。たとえば七夕や夏祭り、節分などの季節の行事が持つ意味を説明し、実際にその行事を体験できる活動を取り入れて。七夕なら願い事を書いて笹に飾り、節分なら豆まきを体験してもらい、生徒たちが楽しめるように工夫していました。日本の高校生の1日を紹介した日もありました。生徒たちはアニメ、トヨタ、味の素は知っていても、日本という国の知識はほとんどないので、初めて知ることばかりだったと思います。

 パム先生と相談してイベントも企画しました。高校生が11のグループに分かれてブースで日本の文化を紹介し、中学生に遊びに来てもらうという趣向で、日本語の授業の一環として「日本祭」を開催したんです。中でも注目を集めたのは、「舞妓」のグループと「茶道」のグループ。私は舞妓に関するサイトを紹介したり、お茶のお点前と飲み方の作法、浴衣の着付けなどを教えたりして準備をサポートはしましたが、当日の発表は想像以上に素晴らしかったです。みんな本当によく頑張ったし、生徒だけでなく先生方まで見に来て楽しんでくれて、「日本祭」は大成功。今では学校の一大イベントでもあるかのように、みんなが開催を楽しみにしてくれているみたいで、とても嬉しいですね。企画した甲斐がありました。

派遣先校の日本語教師、パム先生。周りの先生たちから「まるで仲のいい姉妹みたい」と言われていた。 

――文化紹介に関しては、派遣前に計画していたことを実行できたのでしょうか。

木村:私はすごく欲張りで、あれもこれもと計画していたので、できたことは60パーセント程度じゃないかと思います。本当はおにぎりや大福などを作って日本の料理を紹介したかったんですよ。でも時間、費用、設備の面で難しくてできませんでした。みんなで一緒に料理を作って食べる機会があれば、日本にもっと興味を持ってもらえた気がします。

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