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経験者に聞く

高校の英語教員を休職し、鳥取からタイへ。帰国後も交流を継続。 - タイ4期 小林真理子さんインタビュー

タイ
小林 真理子さん

派遣期間中に始めた日本の高校との交流が、帰国後もより一層深まることに

――今年3月に帰国されて、日本に戻られてからも交流を続けられているんですよね。

小林:はい、地元鳥取に戻り今年の4月から高校の教員として教育現場に復帰しました。派遣されている間も、今度は日本での交流ができたらいいな、タイの生徒たちが日本に来られたらと思ってはいたんです。そうしたら昨年秋ごろにタイの高校から日本へ訪問したいという話があり、それからはタイの先生と相談しながら半年ぐらいかけて生徒たちの訪日準備をすすめました。

――タイと日本の交流が大きく前進しましたね。

小林:各方面での調整がとても大変で途中何度もくじけそうになったこともありました。日本側でも4月は年度初めのため忙しい時期だったんですが、国際交流担当の先生がこころよく協力してくださいました。派遣されていた学校はタイでは一般的な公立学校の生徒たちなんですが、保護者の理解もあり、高校2年生14名・高校3年生5名の計19名が来日しました。鳥取では学校訪問や、一般家庭でのホームステイの受け入れも無事にできました。その後は、京都や大阪で研修をしました。

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両校の先生、生徒たちとの集合写真

――すばらしいことですね。来日した生徒たちの様子はいかがでしたか?

小林:タイと鳥取の生徒たちが一緒に授業を受けました。また、一緒に料理を作って食文化の違いにもふれました。言葉が少々通じなくてもジェスチャーなどを使って分かり合えたのではないかなと思います。タイの学校では個人で課題に取り組む時間が多かったり、掃除の時間がなかったりと、日本とは教育システムも違います。食文化交流では生徒たちが一緒に準備から調理、食事、片付けまで体験し、チームで助け合う姿が印象的でした。タイの生徒たちが一番楽しみにしていたのはホームステイです。事前に勉強してきた日本語も使いながら、日本の家族ととても楽しく、貴重な交流ができたようです。今も、日本語を使って近況報告をしたり、タイの家族や食事の写真を送るなど、交流は続いているようです。日本に来るという経験を通してタイの生徒たちの視点もどんどん変化していきますし、さらに日本に興味をもってくれるようになった気がします。

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タイと日本の生徒が一緒に調理をしている様子

――小林さんをきっかけに鳥取にも来られましたね。

小林:私にとっても鳥取に来てもらえたのは夢のようなこと。これまで聞いたこともなかった「鳥取」についてタイで調べてきてくれました。鳥取の同級生と一緒に授業や料理を体験し、ホストファミリーと鳥取砂丘などの観光も楽しんで、帰るときにはまた鳥取に来たいと言ってくれたことがうれしかったです。私ももっと鳥取を好きになって、自分のふるさとを紹介できるようになろうと思いました。

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ホストファミリーと一緒に鳥取砂丘へ

国際交流は一人ではできない。まわりの協力があってこそ生まれるもの。

――帰国後も交流が続けられるのは嬉しいことですね。小林さんが日本語パートナーズの経験で得たことを教えてください。

小林:タイ人の先生と一つの仕事を異なった文化背景をもつ者同士が行ったことはお互いにとっても貴重な経験になったと実感しています。タイでは本当にいろんな人に助けてもらいました。今までは一人で当たり前にできていた通勤から、生活、授業準備のあらゆることまでです。いつも先生の配慮やサポートもあって気持ちよく仕事に取り組めましたし、日ごろから周りの人とのかかわりが大切なのだと改めて感じました。日本の学校でも受け入れ準備に多くの先生が協力してくれて、国際交流は自分一人ではできないことに気付かされました。

――協力してこそ良い仕事ができるということですね。タイでの経験から、日本の生徒に今後伝えていきたいことはありますか。

小林:外国語で自分の言いたいことを伝えるにはいろんな手段があることをタイの生徒から学びました。タイでは生徒のプレゼンテーションや会話などの表現活動を大事にしていて、間違いを恐れずに言葉をどんどん使う姿勢があるんです。正しいスペルが書けなくても、自分の言葉で言えばいいし、絵でも伝えられる。コミュニケーションにはいろんな手段があることを日本の生徒に伝えていきたいです。外国語を学ぶことは、その言語が使われている国や地域の人と文化を知ることだとも思っています。生徒が楽しみながら外国語を学び、のびのびと表現し、新しい世界に向かって自分を開いていければうれしいです。

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タイの高校の生徒とスカイプで交流をする日本の生徒たち

――最後にこれからの抱負をきかせてください。

小林:タイの生徒と10ヶ月間かかわって、生まれた国や文化は違いますが、同じ高校生が学ぶ姿勢、意欲、興味関心の持ち方は日本とタイも同じだなと思いました。生徒が世界を見て視野を広げるためにその国に実際に行ってみることは貴重な経験だと、今回来日した生徒を見て思いましたし、これからもサポートを続けたいと思っています。日本語パートナーズとしての任務は終わりましたが、これからも教育活動や国際交流にかかわる一人として、生徒同士のつながりを大切にして交流を深め、継続していきたいと思っています。

インタビューを受けた小林さんの写真
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