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国際交流基金アジアセンターは国の枠を超えて、
心と心がふれあう文化交流事業を行い、アジアの豊かな未来を創造します。

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展覧会「Open Possibilities: There is not only one neat way to imagine our futures」(シンガポール)

シンガポール

本展覧会のダイジェスト映像を公開しました。
展覧会「Open Possibilities: There is not only one neat way to imagine our futures」 (YouTube)

日本と東南アジアのアーティストによるアートとテクノロジーの展覧会を、シンガポールと日本にて開催

国際交流基金アジアセンターでは、情報化社会の進展に伴い、急速に発展を遂げるアジアのクリエイティブ・シーンに焦点を当て、テクノロジーと芸術表現を融合したメディアアート表現や、インターネットの登場以降にあるポップカルチャーや音楽文化の動向を紹介するため、展覧会やワークショップ、シンポジウムやパフォーマンスを通じた次世代間の交流・協働に取り組んでいます。

最終年度である2019年度は、これまでの活動で培った同事業のネットワークをさらに拡げ、日本において1990年代からメディアアートを中心に紹介してきたNTTインターコミュニケーション・センター [ICC](以下、ICC)と、東南アジア域内のキュレーターを含めた共同キュレーションによる展覧会をシンガポールと日本にて開催します。2019年12月に、シンガポールのジャパン・クリエイティブ・センター(以下JCC)10周年を記念した展覧会を、2020年1月から3月には東京・ICCでの展覧会を、巡回形式でキュレーションします。日本と東南アジアにおけるメディアアート表現の特徴と実践的活動を生かし、国・地域を越えたアジアにおける同時代の表現を広く紹介することを目指します。

展覧会「Open Possibilities: There is not only one neat way to imagine our futures/開かれた可能性——ノンリニアな未来の想像と創造」

情報化とグローバル化により変質する社会のなかで、私たちは、どのような「未来」のイメージを描くことができるでしょうか―。

本展覧会は、アジアにおけるメディアアートをはじめとした様々な表現を通じ、近代化と科学技術の発展の延長線上に想像されてきた「未来」のイメージを、複数の可能性に満ちたものとして捉え直そうとする試みです。アーティストたちは、いまや共通のツール、プラットフォームとなったテクノロジーを用い、神話や儀式、人間と機械の関係性を改めて探求しています。近代化の過程に伴いテクノロジーの受容経緯や形態が異なるアジアのなかで、様々に繰り広げられるアーティストの実践には、近代的テクノロジー対する工夫に満ちた豊かな感覚と創造力を見ることができるでしょう。

本展では、アーティストによるテクノロジーへの多様な視点を通じ、決してリニアではない多様な「未来」への、より開かれた可能性(Open Possibilities)として、私たちの「未来」を広げていきます。

本展キュレーター
[日本] 指吸 保子(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]学芸員)
[インドネシア]リアル・リザルディ(アーティスト、研究者)

シンガポール展概要

会期 2019年12月6日(金曜日)から21日(土曜日)
開館時間:午前10時から午後6時
休館日:月曜日、日曜日
会場

ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)
4 Nassim Road、シンガポール 258372 Google map

入場 無料
出品作家 市原 えつこ[日本]
INTER-MISSION[シンガポール]
タナチャイ・バンダーサック [タイ]
葉山 嶺 [日本]
やんツー [日本]
Waft Lab [インドネシア]
主催 国際交流基金アジアセンター、NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] (東日本電信電話株式会社)、在シンガポール日本国大使館ジャパン・クリエイティブ・センター

展覧会「Open Possibilities: There is not only one neat way to imagine our futures」(東京)

関連イベント

会期中、本展キュレーターと出展アーティストによるガイドツアーとトークイベントを開催するほか、シンガポール内の2つの会場で、アウトリーチプログラムを開催します。Science Centre Singaporeではメディアアート作品の制作体験を行うワークショップを、The Substationでは、楽器製作ワークショップを実施します。本展とあわせてご参加いただくことで、「アート&テクノロジー」が有する表現の特性と創造性を体験的に学ぶことができます。

[申し込み方法]
ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)ウェブサイトイベントページ(英語)より、お申込みください。会場をご確認のうえ、当日会場受付にて申込画面をお見せください。なお、席の数に限りがございます。あらかじめご了承ください。

ギャラリーツアー

日時:12月6日(金曜日)午後2時から3時
12月7日(土曜日)午後2時から3時
会場:ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)

※ギャラリーツアーに限り、事前申込みは不要です。

アーティストトーク「Exposing the Limit: On Futures, Media Art, and Technology」

日時:12月7日(土曜日)午後3時30分から5時
会場:ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)
参加アーティスト:市原 えつこ、INTER–MISSION、Waft Lab、やんツー
モデレーター:指吸 保子

アウトリーチプログラム
ワークショップ「Making a Drawing Machine with Daily Objects」

日時:12月8日(日曜日)午後1時から5時
会場: Science Centre Singapore
15 Science Centre Road、シンガポール 609081
アーティスト: やんツー
ファシリテーター:INTER–MISSION
持参するもの:身近にある使わなくなった電化製品、電動おもちゃ(可能な限り)
対象:小学生以上
定員:15名

アウトリーチプログラム
ワークショップ「Sounds. Warning. System.」

日時:12月12日(木曜日)午後5時から9時
会場:The Substation
45 Armenian Street、シンガポール 179936
アーティスト:リンタン・ラディティヤ
ファシリテーター:INTER–MISSION
対象:アートを専攻する学生、アーティスト、音楽家、作曲家
定員:10名

アーティストトーク「On Surroundings: Reconfiguring the modes of communication with nature」

12月13日(金曜日) 午後6時から7時30分
会場:ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)
参加アーティスト:葉山 嶺、リンタン・ラディティヤ、ザイ・タン

キュレータープロフィール

指吸保子(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]学芸員)[日本]
1978年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。制作会社などでアート・イヴェントの制作に携わった後、2005年よりNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]に学芸アシスタントとして勤務。以後、映像アーカイヴ「HIVE」のコーディネーター(兼務)、学芸員補を経て現職。現在は、展覧会シリーズ「オープン・スペース」を始めとするICCの展覧会全般の制作に携わる。また、「オープン・スペース」の10周年を記念して発行された『OS10:アートとメディアテクノロジーの展望 ICCオープン・スペース10年の記録 2006-2015』(ウェブ版:https://www.ntticc.or.jp/ja/feature/os10/)では編集および執筆を担当。

リアル・リザルディ(アーティスト、研究者)[インドネシア]
人間とテクノロジー、電子機器やイメージの流通とネットワークの介入の関係性に関心をもつ。作品を通じて(無)時間の観念やイメージにある政治性、メディア考古学、人間の生活におけるテクノロジーの影響を問い直す。2017年にはジャカルタ国際ドキュメンタリー実験映像祭(ARKIPEL)で、2018年には展覧会「Internet of (No)Things」(ジョグジャカルタ国立博物館)のキュレーターを務める。バンドゥンにあるアートコレクティブSALONの共同設立者。現在は香港城市大学博士課程在籍。
リアル・リザルディ公式サイト

出展アーティスト・プロフィール

市原えつこ(アーティスト)[日本]
1988年生まれ、メディアアーティスト、妄想インベンター。早稲田大学卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。美術の文脈に依らない広く楽しめる作品性と日本文化に対する独特のデザインから、世界中の多様なメディアに取り上げられている。主な作品に、大根が艶かしく喘ぐデバイス「セクハラ・インターフェース」(2012)、家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせ49日間共生できる「デジタルシャーマン・プロジェクト」(2015-)等がある。2017年に第20回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞、2018年にアルスエレクトロニカ賞で栄誉賞受賞にもノミネート。
http://etsuko-ichihara.com/

INTER–MISSION(アート・コレクティブ)[シンガポール]
2016年にユリック・ラウとティアン・ユハンによってスタートしたアート・コレクティブ。アートの文脈においてテクノロジーの言説をつくりだすことを目的に活動を行う。作品とアーティスト、そして鑑賞者との間にある技術的な関連を探求し、学際的かつ協働的なビデオアート、オーディオ・ビジュアル、パフォーマンス、インスタレーション、およびインタラクティブアートなどの作品を制作。また、持続的な対話とメディアによる実践との関わりを促すため、トランスナショナルなネットワークも構築している。インタラクティブなパフォーマンスやインスタレーション作品、ビデオ上映、国際的かつ学際的な対話、そして知識の共有を通じて、絶えず変化するテクノロジー環境における協働と、意見や知識の交換、そして参加を促進する空間を作り出している。
https://www.inter-mission.art

タナチャイ・バンダーサック(アーティスト、映像作家、写真家)[タイ]
1984年生まれ。バンコクのタマサート大学およびパリ・セルジー国立高等美術専門学校で学ぶ。映像、写真、ファウンドオブジェ、インスタレーションなど多岐にわたる作品を制作し、これまでにKadist Art Foundation(パリ、2011年)、Ygrec(パリ、2012)、Nova Contemporary(バンコク、2017)、Tang Contemporary Art(バンコク、2018)、バンコク国立博物館(2019)にて作品を発表。映像作品は、第41回ロッテルダム国際映画祭、Rencontres Internationales Paris/Berlin/Madrid、WNDX Festival of Moving Image(カナダ)、第5回および第6回バンコク実験映画祭にて上映。 2019年、シンガポールの南洋理工大学現代アートセンター(CCA)のレジデンスプログラムに参加。
http://www.tanatchaibandasak.info/

葉山嶺 (アーティスト、映像作家)[日本]
多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。野生動物と接する機会の多いユニークな環境で幼少期を過ごす。2008年より独自の方法でフィルムやビデオ作品を発表。人間中心主義的な視点からは失われたり、無視されたりするような他の生物や自然を題材にした作品を発表。自然と人間の関係を捉え直すようなそれらの表現は、人間の想像力を、自然の中に存在する見えないリアリティへと喚起する。これまでに、東京都写真美術館、Museum of the Moving Image(ニューヨーク)、Bergen Kunsthall、Thai Film Archives、Anthology Film Archives(ニューヨーク)、シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭、EMPTY GALLERY(香港)などで上映・展示を行う。
http://reihayama.net/

やんツー(アーティスト)[日本]
1984年生まれ。2009年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域修了。デジタルメディアを基盤に公共圏における表現にインスパイアされた作品を多く制作する。行為の主体を自律型装置や外的要因に委ねることで人間の身体性を焙り出し、表現の主体性を問う。近年参加した主な展覧会に、「第20回DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2018)、「呼吸する地図たち」(山口情報芸術センター[YCAM]、2018)、「東京ビエンナーレ2020 プレイベント」(2019)がある。第21回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞(2018年)。
http://yang02.com/

Waft Lab(アーティストコレクティブ)[インドネシア]
スラバヤを拠点に、DIY精神に基づき、アート、文化、科学、テクノロジーの学際的、横断的な実践に取り組むグループ。2011年より、新しいアイデアの導入と、持続可能な共同ネットワークを構築することを目的に、ワークショップ、ディスカッション、展覧会、フェスティバルなど多岐にわたる活動を展開。エレクトロニック・ミュージックを演奏する「Elektro Work」、 ビデオフェスティバルを実施する「Video Work」、展覧会を開催する「Urban Work」、そして、 ワークショップや共有と議論の場をつくる「No Work」の4つのプロジェクトをベースに活動。最近では、「No Work」プロジェクトに焦点を合わせ、より公共的なニーズに応えるための新しい方法の開発と探求を続けている。
http://www.waft-lab.com

関連イベント アーティストプロフィール

ザイ・タン(アーティスト)[シンガポール]
1984年イギリス生まれ、シンガポール在住。近年は、「生態学的危機の時代に自然の声に耳を傾けることとはどういうことか」という問いに対し応える表現活動を行い、脅威にさらされている野生生物の生息地で記録した音の抽象化と視覚化に取り組む。拡張したこれらの音を、ドローイング、アニメーション、映像、パフォーマンスといった他の表現要素と組み合わせた作品は、人間と非人間のあいだを探求するような体験と熟考を鑑賞者に促す。近年の主な展示に、シンガポール国立美術館(2017)、シンガポール国際芸術祭(2017)、クアラルンプール国際実験映画・音楽祭(2018)、第2回銀川ビエンナーレ(2018)、シンガポール国際映画祭(2019)、シンガポールビエンナーレ(2019)がある。
http://www.zaitang.com

リンタン・ラディティヤ(楽器開発者、サウンド/エレクトロニック・アーティスト)[インドネシア]
ジョグジャカルタ在住。DIYによるアナログ電子機器の制作や、サウンドと空間の関係性、ランダム性、ジャワにある未来派に興味をもち、近年は、電気音響工学とインタラクティブな手法、実験音楽による横断的な表現を探求している。オリジナル楽器やインスタレーション作品を制作し、ワークショップや展覧会、ライブ演奏、講演等多岐にわたる活動を展開。これまで、Holland Festival(STEIM、アムステルダム、2017)やSynthFest(マレーシア、2017)、Nusasonic(ジョグジャカルタ、2018)、CTMフェスティバル(ベルリン、2019)に参加。また、DIYシンセサイザーの研究と開発に焦点を当てたプロジェクトトKenali Rangkai Pakai」を主宰。シンセサイザーの構築と開発にある文化を記録し、データベース化する「Synthesia.id」プロジェクトを行っている。
http://www.kenalirangkaipakai.blogspot.com
http://www.synthesia-ind.blogspot.com

本事業はbeyond2020の認証事業です。