ASIA center | JAPAN FOUNDATION

国際交流基金アジアセンターは国の枠を超えて、
心と心がふれあう文化交流事業を行い、アジアの豊かな未来を創造します。

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日経バーチャル・グローバルフォーラム「コロナ時代の文化芸術・エンタメを考える―リアルな交流が困難な今こそ、国境を越えて絆をはぐくもう」

Forum / 日経バーチャル・グローバルフォーラム

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コロナ時代の国際交流のあり方を考える

国際交流基金は1972年に日本と諸外国との国際文化交流を行うために設立され、文化芸術、日本語教育、日本研究・知的交流という3本柱で事業を行ってきました。
2014年にはアジアとの双方向の文化交流を強化するためにアジアセンターを設立。
日本語パートナーズ、双方向の交流事業を行っています。文化交流事業では本セミナーで紹介されるサッカーや演劇のほか、音楽、映画、ダンスなど、さまざまな事業を協働性、双方向性というキーワードで実施してきました。
しかし、この春からは新型コロナウイルスの影響でリアルな国境を越えた事業の実施が困難となっています。コロナの時代に文化、エンタメの世界で何が起こっているのか、これからの取組みについてそれぞれの分野で活躍されている方にお話を伺いました。文化、芸術、エンタメ、国際交流のありかたについて、私たちが考えるとても良い機会になると思います。

国際交流基金
理事
柄 博子

鼎談:東南アジアと日本とのサッカー交流のこれまでとこれから

日本とASEANの大きな歴史的変化

田嶋幸三(以下、田嶋): 日本サッカーは1968年のメキシコオリンピックで銅メダルを取ったあと、70~80年代はマレーシアやシンガポールなど、ASEAN各国に勝てない時代が続きました。そこからユースの改革、指導者育成、日韓ワールドカップなどのマイルストーンを経ての今です。

武智幸徳(以下、武智): 現在はサッカー協会や国際交流基金アジアセンターなどを通じてアジアへコーチや審判の指導員を派遣もしています。

田嶋: その一人が古賀さんです。

古賀琢磨(以下、古賀): セレッソ大阪の育成から指導をスタートし、2011年からは日本サッカー協会の指導者派遣でシンガポールと東ティモール、ミャンマーとトータル9年間海外に行かせていただきました。

田嶋: ASEAN各国は著しい経済発展の中でサッカーにも力を入れています。かつて日本より圧倒的に強かった国に今、日本の風が入りつつある。ASEANでプレイする選手も多いです。タイの西野朗監督、シンガポールの吉田達磨監督、カンボジアの本田圭佑監督と、日本人が監督を務めるようにもなり、2021年のAFC U-19選手権ウズベキスタン大会では、インドネシア、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオスの5つが出場権を獲得しました。これは歴史的なことです。

武智: すごいことですよね。

田嶋: カンボジアに負けたタイからすぐに「日本人をユースの監督に」と電話がかかってきました。各国のライバル心は非常に強く、日本への評価も高いです。今後、ワールドカップに出場できるような国になっていくでしょうし、ASEANの国でのワールドカップ共同開催の動きもあります。

武智: 田嶋さんはよく、ヨーロッパや南米のチームの強さは、オランダやフランスでさえ予選で落ちる厳しさの中で戦っているからだとおっしゃっていますよね。

田嶋: 世界で勝つためには切磋琢磨(せっさたくま)し、アジアのレベルを上げることが必要です。アジアのレベルが上がると日本にも必ず良い影響がある。また、古賀さんのようにアジアでの指導を経験して帰国する人たちの成長も素晴らしいです。

武智: 実際はやはり大変ですか?

古賀: 僕はストレスも特になく、楽しめました。プレッシャーはもちろんありましたが、それ以上にやりがいを感じましたね。指導した選手が数年後に代表選手に選ばれたというニュースを聞くと、指導者としては嬉しいです。

武智: 種をまいているような感じですね。選手たちを日本に招いて交流をすることもあるとか。

古賀: 東南アジア選抜と日本の東北選抜が対戦する親善試合「JapaFunCup」を国際交流基金アジアセンターと開催したのですが、皆さんレベルの高さに驚いていました。ポテンシャルの高い選手も多く、中でもタイ、ベトナムは頭一つ抜け出ています。

今できることを継続し底辺を広げて頂きを高く

武智: コロナ時代のサッカーのあり方、アジア交流、国際交流のあり方についてもお聞かせください。

古賀: できることを継続していくべきですよね。選手の派遣もですが、指導者の養成に力を入れれば、アジアの指導者のレベルも選手の質も間違いなく上がります。

田嶋: 良い指導者が若い選手を育成し、底辺を広げるから頂きが高くなる。代表を強くするためにいい監督を連れてきて……という考えではなくなってきています。

古賀: ASEAN各国の考え方が変わってきたからこそ日本人が派遣されるようになったのかなと。

武智: 交流するのも難しい時代です。この厳しい時代をどうしのいで行けばよいのでしょう。

田嶋: 海外遠征は難しくても、リーグの試合はやっていますから。今は自分たちのチームのレベルを上げることに加え、若手の育成、指導者の養成が必要だと思います。

古賀: あとはグラスルーツ普及で裾野を広げることも大事です。

田嶋: 今は育成コーチも派遣できないため、WEBで指導しているようです。早く直接指導できるようになるといいですね。日本に期待されている部分を忘れちゃいけないと、今日改めて思いました。

武智: 強い、勝てる日本であることが信用の裏付けになりますから。

田嶋: 国際交流基金のおかげで指導者を派遣できること、もしくは日本で迎え入れられることはありがたいですし、今後も継続していかなければと思っています。

鼎談の様子の写真
普及活動に尽力してきた田嶋氏、古賀氏が、アジアサッカーの隆盛ぶりを語った。