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経験者に聞く

「日本語を学びたい」と思ってもらえる環境をアジアに作りたい - タイ2期 天野健太さんインタビュー

タイ
天野 健太さん

応募の動機は「もう一度タイで日本語教育に携わりたい」との思い

――海外に住むための手段として日本語教師のスキルを身につけたとのことですが、渡航の計画は具体的に立てていたのですか?

天野:行動を起こさなければこのまま日本にいることになると思っていたところ、ボランティアで留学生に日本語を教えていたのが縁で、その大学の教授にJICAの青年海外協力隊(JOCV)への応募を勧められまして。青年海外協力隊に応募できる年齢は20歳から39歳なんですよ。私はすでに30代半ばだったので、これが最後のチャンスという思いで応募しました。でも、その年は選考に漏れてしまって。2度目のチャレンジで合格し、勤めていた会社を退職しました。

――30代半ばという年齢で、休職ではなく退職して海外ボランティアに参加。思い切った決断だったのではないかと想像しますが……。

天野:逆に、その年代だから踏み切ることができたのかもしれません。JOCVの活動を終えた後は、現地で職を見つけるか、自分で何かビジネスを始めるつもりでした。日本に戻って仕事をするという考えは一切なかったです。

――青年海外協力隊として活動した時期と場所を教えてください。

天野:2012年にJOCVの日本語教師として派遣され、2014年までの2年間、タイのチェンライ県にあるメンライマハラートウィッタヤコム学校で中学3年生から高校3年生までの生徒に日本語を教えました。ちなみに、JOCVの場合は日本語教師として一人で授業を担当します。

――日本で留学生や技能実習生に日本語を教えていた経験は役立ちましたか?

天野:役に立ったし、生かすことができました。活動自体にも満足しています。ただ、まだまだ取り組めることはありました。それで、もう一度タイで日本語教育に携わりたいと思い、JOCVの活動を終えた後に日本語パートナーズに応募したんです。

――日本語パートナーズの情報を何で知ったのでしょうか。

天野:派遣2年目にJOCVの事務局から日本語パートナーズについての説明があり、帰国後に応募できることを聞きました。でも、その時点で応募を検討したわけではなく、心が動いたのは帰国後、日本語パートナーズの説明会に参加した時です。日本語パートナーズの役割を具体的に知って、JOCVではできなかった活動ができるのではないかと感じました。それが応募の決め手ですね。

タイ2期の派遣校の中に、実は、私がJOCVで赴任した学校が入っていたんですよ。可能なら今度は日本語パートナーズとして赴くことができればと願っていましたが、それは叶いませんでした。

相互理解を深めるための基本は対等な立場で同じ土俵に上がること

――天野さんが日本語パートナーズとして派遣されたのは、ナコンシータマラート県のベンチャマラチューティット学校でしたね。

天野:はい。タイで有数の進学校です。日本語は選択科目で、中学3年生から高校3年生まで、230人の生徒が履修していました。

――JOCVでは日本語教師として一人で授業を受け持ったとのことですが、日本語パートナーズの場合は日本語教師のアシスタントでありサポート役です。授業もチームティーチングが基本となるため、スタンスが違ったのではないかと思います。

天野:チームティーチングには派遣前からとても興味がありました。スタンスの違いに関しては、最初からタイ人教師のアシスタントを務めるという意識で臨んだので、戸惑いや物足りなさを感じることはまったくなくて、むしろ楽しかったです。言うまでもないかもしれませんが、現地の先生が望んでいることに応えられるようサポート役に徹するという心構えが、日本語パートナーズには必要じゃないでしょうか。私は、先生が苦手とするPC関連の作業を積極的に担当し、パワーポイントで資料を作るといったことをしていました。日本語教師として教えた経験を生かせた点をあげるなら、授業の展開を予測して準備ができたことですね。

生徒たちと調理する天野さんの写真
派遣先のベンチャマラチューティット学校では生徒に日本食作りを体験してもらった。

――自分から先生に提案したアイデアなどはありますか?

天野:先生と相談しながら授業に取り入れたことはいくつかあります。たとえば「動画プロジェクト」がその一つで、これは生徒主体の授業です。まず生徒はグループに分かれ、自分たちが紹介したいテーマを考えてシナリオを作ります。そして、日本語で説明する自分たちを収めた動画を制作し、発表する。生徒には非常に好評でしたし、日本語学習のモチベーションを上げる効果があったと、私自身も手応えを感じることができましたね。

――日本語パートナーズの活動を通して得たことがあれば聞かせてください。

天野:教案を共に考えて臨んだチームティーチングを通して現地の先生と信頼関係を築けたことや、地域の人々とコミュニケーションを図る機会を多く持ったことで、タイ人に対する理解が今まで以上に深まって、非常に有意義な10か月でした。

海外の人たちと互いに理解し合うための基本はやっぱり、対等な立場で同じ土俵に上がることだと思います。残念なことに、日本人の中にはアジアの国の人々を下に見る人がいますが、そういう上から目線はNGですよね。本人が無意識であっても文化摩擦の原因になり得ることを、青年海外協力隊と日本語パートナーズの同期や先輩とのやり取りを通してあらためて認識しました。それが今の自分にとって、教訓にもなっています。

書道を体験する生徒とそれを指導する天野さんの写真
書道をはじめとする日本の伝統文化も積極的に紹介。

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